「ポワロ」の【神回】は?「カーテン」のあらすじや、ミス・レモンの最後!ポワロの俳優は死亡?

「ポワロ」といえば、1989年から2013年にかけて制作されたイギリスの王道ミステリードラマ「名探偵ポワロ」です。

今回は、ポワロシリーズ全70話のうち、絶対に見逃せない【神回】、最終回「カーテン」、そしてミス・レモンの最後について紹介します。ポワロの俳優が死亡したのかについても触れますので、是非最後まで読んでいってください!

 

ポワロの【神回】絶対に見逃してはいけないエピソードは?

ポワロドラマシリーズ全70話のうち、【神回】はどれなのか?
絶対に見逃してはいけないエピソードをご紹介します。

 

神回その1 第65話「オリエント急行の殺人」

一見共通項がなさそうに見える乗客たちがみな1つの目的のために共謀していたというトリックが、歴史上稀に見る秀逸さなのは言うまでもありませんね。
非常に有名なので、すでにプロットを知っているという方も多いと思います。
が!是非とも、デヴィッド・スーシェのポワロの第65話を観ていただきたいです!

最後の、雪の撮影現場が圧倒的に美しいです。
真実を知ったポワロが、ロザリオを手に、事件の処理をどうするべきか悩む姿は実に重々しい。誰かの大切な人を殺したならその人を殺していいのか、そこに正義はあるのかという、死刑や刑罰の議論と似た人類永遠のテーマと、ポワロはたった1人で向き合うのです。
人々の表情や、音楽、そして吹雪までもが、まるでポワロを追い詰めるかのようです。
ポワロは、罪を見逃した自分の罪の重さに耐えかねて、最後は泣いているように見えます。

 

神回その2 第50話「5匹の子豚」

14年前の殺人事件の謎を解くという不可能ミッションにポワロが挑む「5匹の子豚」。
21歳の美しい依頼者ルーシー・クレイルは、父であるアミエス・クレイルを殺した真犯人は誰なのかを突き止めてほしいと依頼します。
ルーシーが7歳当時ののどかな田舎の邸宅の様子は、ノスタルジックで美しい映像美を見せますが、絵画モデルの女性や目に障害のある妻の妹を中心に、家庭内には不穏な雰囲気が漂っています。
妻が夫を殺す動機は十分。証言者たちの証言もすべて妻の犯行と整合します。
しかし、ポワロが丁寧に過去の真実を紐解いていきます。

このドラマで面白いのは、見事なまでに勘違いが重なり、キャロラインが犯人という結論になってしまった点。本当は、色男アミアスに振り回された若きモデルが真犯人でした。

体が麻痺しながら助けを求められずに死んでいったアミアスは可哀想でしたが、芸術のためとはいえ若い女性の心と体を弄んだので自業自得ですね。
「人を殺すと殺した側(の心)が死ぬ」というテーマが語られる最後のシーンは、輝かしい家族の幸せと対照をなして、重く考えさせられるものです。

 

神回その3 第70話「カーテン」

ポワロシリーズの最終回です。
「オリエント急行の殺人」と同じように、ポワロは1人で大きなテーマと向き合います。法で裁けない殺人犯をどうすればいいのか。眼の前で人々が次々と人生を壊されていくのに、なすすべはないのか。苦悩の末にポワロが出した答えとは?

「カーテン」については、次の項で詳しくご紹介します。

まだまだ神回はあるのですが、今回はこのへんで。

 

最終話「カーテン」のあらすじ。ポワロの最後は?

長きにわたって愛されたポワロのドラマシリーズの最終回「カーテン」のあらすじです。ポワロが衝撃の最期を迎える神回です。

スタイルズ荘での再会

ヘイスティングス大尉がとあるホテルに到着し、久々にポワロと再会します。
ポワロは車椅子姿で顔色が悪く、だいぶ弱っています。
ここは、2人が最初出会った場所、スタイルズ荘。第1話の現場ですね。
ポワロはここで再び犯罪が起きる予感がして、ヘイスティングスを呼び寄せたのです。ポワロは、過去の複数の事件にも関わっているはずの恐ろしい殺人犯が誰なのか見当をつけているのですが、ヘイスティングスには明かしません。

スタイルズ荘には、ポワロたちの他に次のような人々がいます。
・ラトレル夫妻:スタイルズ荘の現所有者。細々とホテル経営をしています。
・ジュディス:ヘイスティングスの美しい娘、フランクリン教授の助手
・フランクリン教授夫妻:夫は研究に夢中で、夫婦仲は冷めきっている
・キャトリントン卿:フランクリン夫人の友人の貴族
・フランクリン夫人の看護師:フランクリン教授と浮気している
・アラートン少佐:色男
・ノートン:どもる喋り方が特徴
・エリザベス:姉が父を殺害して絞首刑になっている女性、ピアノを弾いている

事件

・ 普段から妻の尻に敷かれているジョージ・ラトレルが、うさぎが庭の枝をかじっているとか言って室内から猟銃で発砲し、妻デイジーに怪我をさせます。
・ 娘とアラートンの関係を心配するヘイスティングスにノートンが近づき、アラートンの悪評を吹き込みます。
・ フランクリン夫人は、やたらと夫や人生に対する不平不満を言いふらします。

ノートンは、一見すると鈍くて優しい静かなタイプで、誰からも特に気に留められない存在のようですが、巧みにヘイスティングスの不安を増大させるよう導きます。ヘイスティングスは、娘にとって脅威となるアラートンをクスリで殺そうとしますが、ポワロによって止められます。

その後、フランクリン夫人が亡くなります。体内からは夫が研究していた毒物が検出されます。これについて、ポワロは裁判でうつ症状による自殺だと証言します。

大雨の夜、ヘイスティングスに頼んでノートンを部屋に呼び寄せたポワロ。
翌日の朝、「もし私になにかあったら、この箱の中に証拠がある」と言って病床のポワロはヘイスティングスに箱の鍵を渡します。そして「この事件は終わった」とも言うのです。
ノートンはその日、朝食に現れません。鍵のかかったノートンの部屋に押し入ると、ノートンが額の真ん中を撃ち抜いて死んでいます。前日の夜、ノートンが部屋に入っていく姿をヘイスティングスが見ているので、密室内でノートンは自殺したようです。

ポワロは、ノートンの死を聞くと、病床でヘイスティングスにお別れを告げるような言葉を言ったあと、「(ノートンは)自殺ではなく、殺人だ」と言い残します。意味がわからないヘイスティングス。
その後、ヘイスティングスに部屋から出ていってもらうと、まもなくポワロは亡くなります。心臓発作を起こしたのです。発作を起こしたとき、ポワロは手前にある薬には手を伸ばさず奥のロザリオを手に取り、神に赦しを請いながら亡くなります。薬を拒み、ある意味自殺したのです。

ポワロの死から4ヶ月後

ヘイスティングスは弁護士を通してポワロからの手紙を受け取ります。フランクリン夫人が亡くなったのは、夫人が夫を殺そうとして毒を入れたコーヒーを、予定外に夫人が口にしたからでした。

そして、ノートンを殺したのはポワロ。
ノートンは「ほぼ完璧な犯罪者」で、人の心に奥深く入り込み、人を操り殺意を植え付けるサディスト。「殺人中毒」とも記されていました。エリザベスの姉が起こした事件を含む過去の数々の事件も、ノートンが人々に殺意を植え付けて実行させていたのです。ヘイスティングスも危うくアラートンを殺すところでした。
ノートンを法で裁くことは不可能なので、ポワロは苦渋の選択として自ら私刑を下すことにしたのです。

ポワロは相当前から今回のことを計画していたようです。体調が悪かったのは本当ですが、車椅子が必要だというのは、犯人を欺くための嘘でした。

ショパン(前奏曲集 op.28~第15番 変ニ長調「雨だれ」)の旋律が美しく流れて、25年にわたるドラマシリーズの最終回が終わりました。

 

最終話「カーテン」の感想

衝撃です。ポワロの苦渋に満ちた表情は、病から来るものかとばかり思っていましたが、そうではなかった。法で裁けない殺人犯をどう止めるかという、答えのない問いと向かい合っていたのでした。

ノートンは、金田一少年の事件簿の地獄の傀儡師(くぐつし)・高遠と同じですよね。ノートンのほうがひねくれてるかも。ポワロがノートンに対し、母親のネタで責めたときのノートンの表情や、殺されるときの笑顔が本当に気持ち悪くて、さすがポワロ最大の敵という感じでした。母親や世間から蔑ろにされてきた人だからこその、歪んだ人格が見事に表現されていて、ゾッとしました。

それと対照的なのが、ヘイスティングス大尉の最後まで少しおバカでピュアなところ。
娘のためとは言え、殺人を犯すように導かれるなんて。
ポワロはある意味、ヘイスティングスをおとりのようにしてノートンの犯行をあぶり出したのでしょう。ヘイスティングスのことはポワロが一番良く知っていますからね。

なぜポワロがヘイスティングスをこれほどまでに好きなのかが、よくわかったような気がします。
ノートンに象徴されるような、狡猾で凶悪な犯罪者と対照をなすのが、ヘイスティングスなんですね。いつまでも単純でピュアで子どものような、美しい存在。いい意味で心の闇の水深が浅いというか。これはホームズにとってのワトソンとも似ているような気がします。
長年犯罪と向き合ってきたポワロだからこそ、ヘイスティングスの価値を評価し得たんでしょう。はぁ、しみじみ。

余韻がすごい最終回でしたが、最後に1つ。
車椅子で弱っていても、パリッとしたシャツを着て蝶ネクタイをし、身なりをきちんとしているところがポワロらしかったです。執事のことも含めて、終活をちゃんとしているのが立派。
美しい人だと、心から思いました。
ポワロを想って、書いていて泣けてきました(涙)

 

ポワロの名アシスタント、ミス・レモンの最後は?

ポワロといえば、ミス・レモンですよね。気難しいポワロの秘書を長年勤めた女性で、膨大な資料をファイリングするのが得意。弓なりの細眉とくるっと丸めた前髪が視聴者のハートを鷲掴みにしています。ポワロとミス・レモンのやりとりはくすっと笑えるものばかりでした。

ミス・レモンの最後はどうだった?
ミス・レモンは第48話「白昼の悪魔」を最後に、ポワロのドラマシリーズから姿を消しています。「白昼の悪魔」は旅先での事件なので、ミス・レモンが登場するのは冒頭と最後のポワロの事務所でのやりとりだけです。

その後第57話「満潮に乗って」から、ポワロにはジョージという男性の執事が仕えています。秘書というよりは身の回りの世話係という感じのジョージは、最終回まで登場します。

ただ、嬉しいことに、第67話「ビッグ・フォー」では、ミス・レモンがヘイスティングス大尉、ジャップ警部とともに久々に登場しています。ゲスト出演っぽい感じではありましたが、視聴者を大いに湧かせました。ミス・レモンはもちろん歳を取っていましたが、凛とした雰囲気は変わらずでした。

ミス・レモンを演じているのはポーリン・モラン。1947年8月生まれなので、ポワロ役のデヴィッド・スーシェと同世代なんですね。ポーリンは、俳優業にはあまり力を入れていないようで、出演作は少なく、最近の出演作はありません。

 

ポワロの俳優は死亡した?

ポワロ役のデヴィッド・スーシェは、2025年現在ご健在です!1946年5月生まれなので、70代後半ですね。
ポワロの最終回で死にゆく演技があまりに上手だったため、本当に病気?死亡した?って思った視聴者が多かったようです。あの咳は実にリアルでしたよね、どうやって咳をしていたんだろう⋯

最新の出演作は、2025年3月から放送されるイギリスのテレビドラマ「The Au Pair(原題)」で、主人公のお父さん役だそうです。ポワロとは全然違う、普通の優しそうなおじいちゃんの外見になっています。

制作会社のサミュエル・キスースは、

デヴィッドは脚本を気に入ってくれたようで、起用できたのは幸運だった。一緒に働くのは大いなる喜びだったよ。彼は才能にあふれているだけでなく、撮影現場にいるだけで周りを輝かせ、すべてを興味深いものに変えるんだ。また、非常に優しい人で、周りの人を幸せにするから現場はいいエネルギーに包まれていた。

と、べた褒め!あのポワロの名優と仕事ができることは、周りのスタッフにとって光栄で刺激的なことだろうと想像できます。

これからも俳優としてますます活躍してほしいですね。

 

ポワロの吹替え声優は死亡した?

ポワロ役の声優は熊倉一雄(くまくらかずお)さんです。

1927年1月生まれの熊倉さんは、2015年10月に88歳でお亡くなりになりました。
ポワロの最終シーズンが2013年制作ですから、本当に、最後の最後までポワロを全うされたという感じですね。

日本で2014年に最終シリーズが放送されるときには、

この吹き替えの仕事だけは誰にも渡したくないと思っていたが、生きているうちに最後まで吹き替えられるか心配だったため、無事に完遂して仕事を果たした気持ちになった。

とおっしゃったそうです。
あの独特のキャラを演じきった熊倉さんは最高の声優さんですね。最後までやりきってくださって本当にありがとうございました(涙)

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