「マーサー教授の殺人事件簿」面白いですね!行動科学の勉強にもなるので、ハマっちゃうこと間違いなしです。
この記事では、シーズン1第3話「バーナム効果」と第4話「ゼロサム思考」のストーリー(ネタバレ)・感想をお伝えします。ドラマで学んだ行動科学の復習もあります!
第1話と第2話のネタバレ・感想は、こちらの記事です。
マーサー教授の殺人事件簿のストーリー(3話)
マーサー教授の殺人事件簿第3話「バーナム効果」のストーリーをいち早くお伝えします。
飛行機が、落ちた⋯
アレック・マーサー教授のアシスタント、リズワンは運転中に飛行機の墜落を目撃してしまいます。
現場では、激しく損傷した機体が墜落していますが、幸い乗客の半数にあたる25人が生き残りました。
現場にはマリッサらFBIのほかに、
・ 機体の製造元ホレット社のオーウェン
・ ホレット社の担当エマ
・ 国家運輸安全委員会(NTSB)のデイル
が集まっています。
どうやら、機長のルーカスは離陸後手動操縦に切り替えて橋の方向へ方向転換したようです。そんなミスはありえないとNTSBのデイルが言い切り、NTSBは離婚を苦にした機長の自殺だと考えます。
しかし、アレックは疑問を抱きます。自殺願望があれば何らかの症状がでていたはず。しかもベテラン機長なので、乗客を巻き添えにするのなら全員が死亡するような墜落方法が取れたはずなのです。
それに、機長の自宅には新鮮なフルーツや魚介類があり、自殺する人とは思えません。機長の弟のローリーも、兄は責任感が強く自殺ではないと強く言います。
空耳アワ−!耳も錯覚する?
マリッサたちFBIは、乗客の中に女性権利団体のメンバーが34人いたことに着目し、彼女らがターゲットであった可能性を探ります。
捜査により、機長が事故の2週間前に「女性にモテる講座」に申し込んでいて、そのうちの1つが「ブラックピルの会」の講座だったとわかります。「ブラックピルの会」は、男性社会に声を上げる女性を批判する団体です。FBIは、乗客の女性権利団体のメンバーを殺すために、機長が墜落させたのだと考えます。
実際、「ブラックピルの会」の合言葉は「I took the black pill(ブラックピルを飲んだ)」なんですが、ブラックボックスの音声に「I took the black pill」という音声が入っていたのです。
アレックは、機長の人格像と無差別殺人が合わないと考えます。彼と親しかった人たちが、「今、考えれば、きっと離婚が辛かったのだろう」などというのは、「回顧的フレーミング」だと言うのです。実際に体験したことが、後のインプットによって変化させられることです。
アレックの妹カイリーが、機長のメールデータを復元し、「ブラックピルの会」の講座には参加していなかったことを突き止めます。むしろ、機長は「ブラックピルの会」に批判的な立場だったようです。
アレックは大学の授業で、実験をします。ある音声を聞かせ、なんと聞こえたか答えさせるのです。同じ音声でも、文字情報で導くと、違うものに聞こえます。目や耳から取り込んだ電子信号を脳は予想に基づいて解釈するので、耳も錯覚を起こすのです。
例のブラックボックスの「I took the black pill(ブラックピルを飲んだ)」を流すと、1人の学生が「アトモス・フェイラー」と聞こえたと答えます。その学生は飛行機の知識があり、飛行機に「アトモス」という装置があることを知っていたのです。もちろん、「アトモス」という専門用語を知らない他の学生はそのようには答えませんでしたが、用語を教えたあとは、82%が「アトモス・フェイラー」と正確に聞こえたと答えました。ブラックボックスには、「アトモス・フェイラー」、すなわち「アトモス・故障」という機長の叫びが残されていたのでした。
「バーナム効果」で事故の原因判明!【ネタバレ】
ホレット社の担当者エマがアレックに何かを話したがっている様子なので、エマの自宅を訪ねたアレック。エマは行方不明となっていて、自宅はひどく荒らされています。FBIはホレット社のオーウェンを疑います。
アレックは、誰にでも当てはまることを言い、自分のことを言われていると思わせる「バーナム効果」を使い、オーウェンから話を聞き出します。「バーナム効果」は占いで使われるあれですね。「何か、ストレスがありますね」=誰でも多少ある、みたいなあれです。
オーウェンは、ファームウェアの更新時にミスがあったことを認め、NTSBのデイルが隠蔽に関与したことを打ち明けます。機長のミスではなく、機械の故障が原因だったのです。機長は、必死に機体を水上に着地させようとしていたのでした(涙)機長の名誉が回復されてよかったです。NTSBの不正は暴かれました。エマも無事でした。
アシスタントのリズワンは、今回の事故を目撃したことで精神的にショックを受けています。アレックはリズワンに「リフレーミング」という克服方法を教えます。辛い出来事に遭ったあと、「人々の決断を理解しその手助けをするには、自分の景観が役立つと考えるようにする」というのです。これは納得!
第3話「バーナム効果」の感想
ブラックボックスの音声がどう聞こえるか、という実験が面白かったです。最近流行りの陰謀論っていうのは、まさにこういうことの積み重ねなんでしょうね。バイアスがかかった状態で見聞きすると、脳が勝手に予測変換する、みたいな。脳って、怖いなあ。
でも、エピソードタイトルの「バーナム効果」は、最後にオーウェンから話を聞き出すときに使われたのですが、いまいち弱かったと感じました。「耳の錯覚」のほうがタイトルでもよかったかもしれません。
あと、冒頭の、リズワンがウーバーみたいな配車サービスの運転手をしていて、客にやたらと話しかけるシーンが面白かったです。しゃべりすぎて、アプリで「Silent」を選択されてしまうという。うふふ。
マーサー教授の殺人事件簿のストーリー(4話)
マーサー教授の殺人事件簿第4話「ゼロサム思考」のストーリーをいち早くお伝えします。
なぜ身代金を払えない家の娘を誘拐した?
お決まりのアレックと妹のたわいもない会話シーン。
面白いのは、妹がいう、PEBKAC=Problem exist between Keyboard and Chairという用語。PCの問題は、99%がユーザー側にあるという話です。耳が痛い!
さて、アレックの著書のサイン会で、突如ファンのキース・ムーアが助けを求めてきます。娘のベロニカが失踪したというのです。キースは、アレックの著書にある「身元の分かる犠牲者効果」「称賛・高揚効果」を駆使し、懇願します。アレックは受けることにしました。
ベロニカが車に乗り込んだ映像が、最後の消息です。そして、両親のもとには、誘拐犯から電話がかかってきます。
270万ドル用意しろ。タイムリミットは48時間だ。
両親は賃貸住まいで資産がありません。アレックは疑問に思います。
なぜ身代金を払えない家の娘を誘拐した?
たしかにー!と声を出してしまいました。身代金目的の場合、大金持ちの子供が誘拐されますよね。そう、庶民の子供は誘拐されません。
ベロニカの自作自演?
FBIのマリッサがムーア家に到着すると、一台の高級車が到着します。
エイカーズ製紙のテッド・エイカーズ2世と息子のテッド3世(通称トレイ)です。企業警備と危機管理の専門家ローズも同行しています。
彼らは、ベロニカの母タラが以前働いていた会社の人々です。実は、タラとテッドは不倫関係にありました。ベロニカの実の父親というわけではないようですが、テッドは罪悪感からベロニカがアート活動をするのに相当な資金援助をしているとのことでした。
ということは、タラとテッドの関係性を知っている人であれば、テッドが罪悪感から身代金を融通すると考え、ベロニカを誘拐する理由があります。
不倫のことを知っている人間は、当事者やベロニカ以外にはベロニカの元彼でヤクの売人をしていたコーリーしかいないとわかります。
コーリーを誘い出すことに成功した警察。アレックは、興奮した人がとる行動である「闘争・逃走反応」を活用して、コーリーの逮捕に一役買います。
ベロニカが最後に乗り込んだ車はコーリーの車でした。コーリーいわく、ベロニカから私立の美術学校の学費として20万ドルを貸してくれと言われたそうですが断ったとのことでした。
ここで、ベロニカの自作自演の線も出てきます。
テッド・エイカーズがターゲット?犯人は誰?【ネタバレ】
アレックは、ビデオ通話のときのベロニカの視線から、ベロニカのそばに銃を突きつけた犯人がいたと推察します。
そうすると、自作自演の線は消え、犯人の狙いはエイカーズ製紙のテッドかもしれません。身代金の金額が270万ドルという、キリの悪い数字であることから、過去テッドにこの金額を奪われた人物を探ります。
妹カイリーの調査により、テッドが太陽光パネル会社を設立したもののうまくいかず、250万ドルの追加資金を求めていたことがわかります。出資者が事業の失敗を恐れて暴挙に出たとも考えられます。
ところが、資料をよく見ると、太陽光パネルはテッド2世ではなくテッド3世(通称トレイ)の事業のようです。なんでわざわざ2世と3世って名前にしたんだろうって不思議だったんで、ここで回収されましたね。
父親に資金援助をお願いしたが断られ、なぜベロニカには資金援助するのに息子の自分にはしないんだと怒ったトレイによる犯行だったのです。
270万円という身代金の金額は、おそらく250万円+美術学校の学費20万円。トレイはベロニカが協力すると踏んで270万円という金額を決めたのです。結果としてベロニカが協力しなかったとしても、「アンカリング効果」が働き、一度金額を決めた身代金額を変更しにくくなったのでした。
悲しみの「ゼロサム思考」
アレックはトレイが「ゼロサム思考」に陥っていると考えます。
愛情や尊敬、高評価など目に見えないものを有限だと思い込み、1人が勝てばもう1人は負けだと思うのです。実際にはウィンウィンであっても、過酷な競争だと誤解するのです。
親子間におけるゼロサム思考は、父の愛情が兄弟の1人にだけいくと考えてしまうということになります。
ベロニカが閉じ込められている工場に、テッド2世が先に到着します。
アレックたちが一足遅く到着すると、銃声が響き、血まみれのテッド2世が床に倒れています。
金が目的じゃないだろう。
父親の愛情を求めてたはずだ。
ベロニカを恨んだだろうが、愛情に限りはない。
アレックはトレイを説得し、投降させます。
ベロニカの困難には、外部の人間ローズを雇ったが、君には、父親自身が来たじゃないか、と。
サイドストーリーとしては、ローズがやたらとアレックを気に入ったようで、事件解決後はディナーに誘ってきちゃいます。今のところローズがグイグイ来ているだけですが、ローズは賢そうなのでアレックと合いそうです。
そして、教会爆破犯のウェス・バニングがマリッサとの面会を受け入れたという連絡が入ってきます。18年前の事件にも進展が出てきたようです。
第4話「ゼロサム思考」の感想
(ネタバレ感想です)最初に現れたときから、なーんかボンクラぽい感じで怪しかった息子が犯人でした。
貧乏だけど愛情たっぷりで芸術の才能もありそうなベロニカ一家と、大金持ちだけどいい年の息子がパパの愛情を欲しがっているエイカーズ一家が、対照的で切なくなりました。
親ってのは、お金やパワーを持っていないほうが良いのかもしれませんね。はぁ、人生って難しいものです。
「マーサー教授の殺人事件簿」で学ぶ行動科学
行動科学(心理学)の勉強にもなる「マーサー教授の殺人事件簿」。
今回も、ドラマで学んだことをまとめました。一緒にお勉強しましょう!
回顧的フレーミング(第3話)
素敵なレストランで最高のディナーを味わったあとに、「あれは実はキャットフードだった」と言われたら、その途端に体験が台無しになるというようなことです。
あとから、意味付けがなされるということですね。死んだ人のことを聞かれた人たちが、「今思えば⋯」と自殺の方向に持っていくような発言をしたのが「回顧的フレーミング」でした。
耳の錯覚(第3話)
音声の解釈も、バイアスがかかるということ。具体的には、目から入る情報や知識に影響を受けちゃいます。今回のドラマでは、「アトモス」という単語はほとんどの人が知らない航空専門用語なので、発音の似た「Atmost」とかに聞こえちゃいます。でも、「アトモス」という単語を知ったあとは、ちゃんと「アトモス」と聞こえるのです。
これ、まさに空耳、あーわー!ですよね。英語がわからないし、ミュージシャンが癖のある歌い方をするから、聞き取れない。だから、脳が勝手に知っている言葉に置き換えて聞いてしまうという科学。タモリさん、おそるべし。
バーナム効果(第3話)
占いで多用される手法で、曖昧で汎用的なことを言って、相手に自分のことを言っていると思い込ませるもの。
「リフレーミング」(第3話)
物事の捉え方を変えることで、ネガティブな感情を克服すること。アレックが飛行機事故を目撃してしまったリズワンにアドバイスしていました。
犯罪被害者や病気など、とても辛いことがあった人が、人々に体験を伝えることで予防したい、同じ状況の人々を救いたい、と活動することがよくあります。辛い体験を、リフレーミングして、ポジティブな面として捉える努力の1つなんですね。
「闘争・逃走反応」(第4話)
興奮した人は反射的に行動しがちで、そのためカーチェイスでは右折しがちという推論です。
これ、日本だと左折なんでしょうね。左側通行の国では、右折はハードルが高いですからね。
「アンカリング効果」(第4話)
最初に決めた金額が基準となってしまい、変更しにくくなること。この心理を利用して、先に高い金額を提示して、後に低い金額で購買を決意させるような手法がとられているそうです。テレビショッピングは、いつもそうですよね。「通常5万円のところ、いまだけ19800円!」「えー、やっすー!」
「ゼロサム思考」(第4話)
得ようとしているものが有限だという前提に立ち、1人が勝てばもう1人は負けだと考えること。実際にはウィンウィンであっても、過酷な競争だと誤解するようになります。ゼロサム思考に陥ると、自分以外は敵だということになって、ネガティブになったり極端な行動に出ることになりますね。
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